思考停止

映画、本、音楽、など

2021-01-01から1年間の記事一覧

中庸への意志 2021年総括

この総括を書き始めてからというもの、毎年毎年「今年は特別な一年だった/忘れられない一年だった」と言っている気がする。考えてみれば、その一年が自分にとって特別でかけがえのないものであることなんてその都度自明であるはずなのに、それを言表するこ…

Spotifyの今年聴いた曲ベスト5にレビューをつけてみる

院試対策と同人誌の準備を同時進行、なおかつ季節性の鬱病に臥せりがちな12月の幕開けにこんな現実逃避のエントリをしたためている場合ではないのであるが、どうせひっくり返ったところでいきなりフランス語ができるようになるわけではない。今日も過去問の…

祖父を悼む――作家Feについての試論:『草葬』、デュシャン、ウエルベック

序 今にも落ちてきそうな空の下で 祖父が亡くなった。死因は誤嚥性肺炎。元より摂生も運動もしない性質で、僕が知っている祖父の姿は埼玉にある集団住宅で正月に帰省してはエロビデオの話か過去の知人の悪口、時折母に小言を言って場をピリつかせて父と大ゲ…

個人的シャニマスシナリオランキングレビュー・部門別ベスト――すべてが焦土になる前に

1.日陰の花 オタクは臭くてキモいです。リピートアフターミー。オタクは臭くてキモいです。オーケー、ヴェリ・グッド。この文章は、三峰結華役の声優・成海瑠奈の一連の騒動を受けて書かれている(無論、紫月や田鶯のそれも問題含みである)。なぜ、声豚に限…

NO FUN(息抜き)

久々に個人的な話をしよう。とはいえ、俺は文章を書くときはいつだって個人的な話しかしていないのだが。 なんで公に文章を発信できる場所を別に持ってるのにこのはてなブログアカウントを大学1年生のときから使い続けるかといえば、ここはいわば痰壺だから…

日記、あるいはなんとはなしの彫琢

僕は躁鬱病で統合失調症である、みたいなことを書くのにもいい加減飽きたし、鬱状態とか幻視(夢幻様状態)の症状それ自体にも飽きた。正直いつからこうなっていたのかも覚えていないし、元からこんな感じだったような気もする。合唱コンクールの指揮者で一…

ノクチルとシーズについて:アイドルを観念論のおもちゃにしないためのエッセイ

本文は、当初の構想段階では三部構成として「無軌道――ノクチル」の後に文章を統合する章が来るはずだった。が、僕の体力不足と、テーマ的に無理があるということで、それはナシにした。全ボツにするには割とおもしろいなと思っているので、載せておく。『OO …

「巨乳」のイマジネール――オタクの欲望の貧困

・「みんな巨乳が好き」か? オタクの男で、巨乳が好きではない場合があるとしたら――これは意外と語られてこなかった問いである。男はみんな巨乳が好き。老いも若きも揃って巨乳巨乳の大合唱。もちろん、「いや、俺は貧乳が好きだ。貧乳はステータスだ」と『…

鮮烈――『アイドルマスターシャイニーカラーズ』のための詩篇

・序文 あんまり僕はアイドル論だのポップカルチャー論だのを書きたくないのだ。そもそもこんなもの馬鹿らしいのだから。到底アイドルマスターと哲学なんて結びつきようがないし、大体「〇〇と哲学」などという試みはいくつもなされその度に向こう側に消えて…

人生のミサ

今僕は朝の陽ざしが眩しい六畳一間でクリームパンとアイスのしろくまを平らげ、狭い台所で一服して来し方行く末を考えていた。書くことはいっぱいあるはずなのに、どうにもうまく頭が回らない。前どういう風にして文章を書いていたかを思い出せない。思考の…

ねえ、摩美々ちゃん、よかったら僕と――愛の告白にうってつけの日

シャニマスに限らず僕らオタクは簡単に恋をする。それは古くは涼宮ハルヒや泉こなただったかもしれないし(オレは長門有希だったとか僕は柊かがみだったという諸氏は別にそれはそれでよい、もしかしたらそちらの方が「正しい」のかもしれないのだし)、ごく…

アイドルマスターシャイニーカラーズに捧げる讃歌 断章1

「それ」は始動する。静かに、しかし確実に、唸る重低音を上げながら、動き出す。我々は再び書き出さねばならない。黛冬優子の言う「バカバカしい世界」を真面目な顔して生き延び続けるためには、書き続けなければならない。充溢したパロールもエクリチュー…

七草にちかについての注意喚起

本記事は『アイドルマスターシャイニーカラーズ』というソーシャルゲームの「七草にちか」というキャラクターに関する言及を含みます(決定的にはネタバレしていません)。特にレトリカルな文章ではありません。 管理人は紐づきのTwitterのパスワードを失念…

君の中に、君以上のものを

やあ、きみはぼくが誰か分かるかな?そう、れんとぅむであり、ツァッキであり、早良香月であり、であり、であり、、、云々。まあ、誰でもない。本当のぼくなんて、ぼくにも分からない。だって、この20数年間、ぼくと思い込んでいたものが、ぼくじゃなかった…