思考停止

映画、本、音楽、など

ホロライブは早くHoloEUを作れ

 ツイートの延長線上の話です。

 

 HoloENができたのは確か2020年夏ごろと記憶している。森カリオペの「失礼しますがR.I.P」を聴いたのが大学5年で精神病院に入院したときだから大体合ってると思う。不思議なもので、僕は高校時代受験がなかったので英語はモームヴァージニア・ウルフを授業で読まされ、リスニング教材はTEDだったのだが大体落第ギリギリのちょい上ぐらいの成績だったのにも関わらずHoloENの配信は聴きとおせることが多かった。ニノマエイナニスや小鳥遊キアラは英語ネイティブではない(イナニスは韓国系アメリカ人、キアラはオーストリア出身なのでドイツ語も訛っている)から発音も聴きやすかったし、カリオペの流れるようなテキサス訛りも心地よかった。がうる・ぐらとアメリア・ワトソンは声がかわいいという理由で聴いていたが何を言っているかほぼ分からず。特にアメリアのブロークン・イングリッシュは強烈でスラングもバンバン言う。去年の今頃はキアラの12時間配信を垂れ流しにしてウーバーのマックと駄菓子屋で買ってきたアイスを食べながら布団にくるまるしかできなかったので、HoloENには助けられたという思いが強い。普段は日本のライバーがハロ~センキュ~アイムハッピ~と言うだけで拍手喝采だった海外ニキもENが出てくると一気にそこに流入し、のびのびとコメントしていた(桐生ココのRedditミーム配信にはそこそこ海外ニキもいたと思うけど)。最近のクロニーやハコ太郎は追えていないが、まあそのうち観るだろう。飽き性な僕もなんだかんだVにハマって3年になるが、切り抜きなども活用すれば効率的に楽しめるし、バカにされがちな趣味だが僕としてはVtuber好きでよかったと思っている。

 先日のエントリでフランス語学習法に根本的な誤りがあった(というか学習の過程で頑張るべきポイントで頑張らなかったので突貫工事をしてもほとんどどうにもならなかった)という話をしたが、もはや院試(一週間後になった)対策を今からしてもどうにもならないので、先々のことを見据えてフランス語でツイートするVオタアカウントを作り、フランスのVtuber(いるんだよ、これが)をTwitchでフォローしまくって片っ端からアーカイブを観ている。フランスのVtuberについて一定の体系的な論述を試みたいところだが、何を言っているか分からず(「Putain」「Merde」「Desolée」「Merci」ぐらいしか分からない。ときどき「Alors」「Du coup」などの接続詞が聴こえることもある)、到底今の僕のフランス語力では面白い子たちの魅力を伝えることなどできそうもないので、数か月後の僕にそれは譲ることにする。ただ、耳の訓練にはなるし、音質の悪いパブドメの文学作品の読み上げや「そこにコンピュータがあります」みたいな例文の単語帳のCDを聴くよりずっと楽しくフランス語を耳に入れられている。あと彼女らが日本語をしゃべると嬉しいので海外ニキの気持ちが分かる。「日本のVtuberが好きだから日本語を勉強する」はよくあるのかもしれないが逆はあんまりいなさそう(いるとは思う)。何事も楽しく勉強できる(勉強という意識をなくして勉強する)ことが一番なので、これはしばらく続けたい。

 んで、本題だが、にじさんじは一応KRとかあるもののドメスティック展開(あの月ノ美兎でさえ登録者数は80万人にやっと到達したのである)なのでそれはそれとして、ホロライブはインドネシア英語圏を制圧しつつあるわけだから、HoloEUを作るべきだと思うのである。フランスは人的資源が豊富だからいくらでも引き抜けるし、ドイツ・オーストリアのゲルマン圏にも日本オタクはいっぱいいるだろう。もちろんイタリアやスペイン、ポルトガルだっていい。クレイジー・オリーやムーナ・ホシノヴァがインドネシア語で雑談しているのを見るたびめちゃくちゃうらやましくなるし(多言語話者の学習の入り口という意味で)、何よりVtuberFRの子たち(ほぼ唯一のフランスのVtuber事務所であるVVonderliveの稼ぎ頭であるPawaChanでさえツイッターのフォロワーは3000人とかなのだ)が一生懸命現地のママと作ったであろう低予算のガワで配信しているのを見ると涙がちょちょ切れる。いい絵師をつけてあげて、いいLive2Dで配信する彼女たちが見たい。母語ではない英語ではなくフランス語やドイツ語、イタリア語で思いっきり配信してたくさんの人に見られながらおいおいは3Dになって配信で輝く姿を見たい。異文化交流のありうる形として、異なる言語でありながらヨーロッパという一つの地域を共有する彼女たちの姿は、きっと多くの人に言語を学ぶ意欲や文化を知りたいという好奇心をかき立てるであろうことを僕は確信している。キアラのドイツ語講座も好評なわけだし、HoloEU絶対成功すると思う。まずはHoloFRとかHoloDEから始めて欧州連合みたいに統一するのでもいいだろう。という訳で、カバー株式会社さん、どうかよろしくお願いします。

 

・VVonderliveについてのごく簡単な紹介

 フランスのVtuber業界は面白くて、オタクを観測することが難しい代わりにVtuberが雨後の筍のごとく存在する。まあフランス語初学者がいきなりコミュニティに参入しようったって難しい話ではあるか……。淫夢とか加藤純一みたいなコンテクストもないし、手を変え品を変え検索してみても大学の日本学科でサブカルチャーを研究してる教授とかストリーマーが出てきてひねくれバチャ豚みたいなのが出てこない(向こうにも「ぺこーらに告白しようと思ってる」はいるんだろうか?)。山盛りフレンチフライの画像に「優勝」とかツイートするヤツはいないらしい。いたらいたで嫌だが。気分をgif画像で表現するのはフランスに限らず欧米圏の特色だが、中国が哀叫拓也や目力先輩を真似するのに対してユーモアセンスが割と健全なように見える(Redditミームの有名なTier表とかもそうだし画像を二枚並べて「ホロライブを知る前のあなた:知った後のあなた」のやつとかもだが笑いのニュアンスにことオタクカルチャーに関しては嘲笑や皮肉のニュアンスがアジア圏より少ない気がする)。

 フランスのVtuberはそんな訳でほぼ無名のライバーが日夜Twitchで活動しているのだが、フランスのキズナアイ(勝手に言ってる)であるPonokiChanが去年の年末にVtuber業界を振り返ろうみたいな動画で上にも書いたVVonderliveのPawaChanに言及している。フランスのVtuberと言えば!みたいな感じなのだろう。


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(Comment devenir un vtuber en 2021?「2021年、どうやってVtuberになる?」。animojiから始まってトラッキングやLive2Dの技術の発展と応用方法がフランスのVtuber業界と日本のVtuber業界を比較しつつ紹介される。PonokiChanはYoutubeの動画勢なので早口ではあるが字幕もつけられるし大体10分以内なのが嬉しい)

 以下では、PawaChanを含むVVonderliveのVtuberを3人紹介する。より詳しい紹介は僕のフランス語力の向上を待っていただくかフランス語ができる方が観ていただくかだが、日本では恐らくほとんど知られていないであろうため、わずかでも彼女らを知るきっかけになればと思う。なお、オススメの動画を紹介したいところだが、Twitchはアーカイブが14日間しか残らないのでオススメしづらい。各自興味を持った子のTwitchに飛んでregarderするなりécouterするなりしてほしい。

 

・PawaChan

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 ピンク髪のツインテールと見た目まんまのキャンディボイス、まくし立てつつ視聴者のコメントを丁寧に拾うのが芸風。日本語を見かけると「ありがとうございます~」と返してくれる。英語は苦手な模様。雑談を30分~1時間ほどやってからゲーム配信を始めるスタイルだが、ゲームは配信が始まってから一発系のゲームをやることが多い(NieR:Automataなどの例外あり)。YoutubeにVVonderliveの中では唯一切り抜きと自己紹介が上がっているので、一番入門者向きかもしれない。オープニングの歌が楽しい。Facile Facile~♪Youtubeの自己紹介と切り抜きを挙げておく。


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・Hiwamari

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 VVonderliveの清楚枠(後述するWaffleとの対比でミームも作られていた)。Himawariではない。ポケモンFPS(ヴァロ、エペ)、雑談がメイン。比較的ゆっくり喋ってくれる上日本語も堪能なのでPawaChanで耳が疲れるのであれば彼女がオススメ。歌が好きなようでいきなり歌う(日本のアニソンがメイン)。個人的に清楚はそんなに観ないのであまり響く子ではないがホロライブで言えば百鬼あやめや大神ミオあたりの毒っ気のなさに割合近いかもしれない。

 

・Waffle(Waffy)

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 VVonderliveのSale(ヨゴレ)枠。配信はFNaFなどのホラゲ、マイクラ、雑談。先日はSUBATHON(サバソンと読むらしい。Twitchストリーマー特有の文化で、一定時間の登録者数の増加に応じて配信時間を延長していく耐久配信のこと)で24時間ぶっ続け配信を達成した。とにかく罵詈雑言が酷く、「Putain」「Merde」「Shit」「Fuck」を連発する。直近のFNaFの配信タイトルは「ON NIQUE LA MERE A WILLIAM」(ウィリアムのママをブチ犯すぜ)だったのだから本格的に手に負えない。ホラゲの絶叫と一気に10コンボ決まる金属的かつ力強い台パン、ハスキーな声はかなり癖になる。かなりの早口かつブロークンフレンチなので大体何を言っているか分からないが勢いだけでも観ていて楽しい。イチオシ。一連のFNaF配信は一気に観てしまった。

 

 というわけでVVonderlive以外にもフランスにはVtuberはいっぱいいるが、ほんの氷山の一角を紹介してみた。彼女らが日本のリスナーに迎え入れられる日を心から待ち望んでいる。ちゃんとフランス語勉強して言ってること分かるようになるぞ~。